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法座

安居会説教


6月22日、23日は、安居会のお説教でした。
御講師は、乃美尾の西教寺ご住職・吉盛大智師でした。

ご自坊の御本尊を、修復のためにご遷仏されたお話から、お木像の御本尊の特徴についてお話くださいました。

特に、御本尊の阿弥陀如来がお立ちになっている蓮座(れんざ・はちすざ)のお話が印象的でした。

ちなみに現在、本願寺派の一般寺院・ご家庭におけるお木像の御本尊の蓮座は「金蓮華」か「青蓮華」と原則的には定められています。

金蓮華の御本尊
青蓮華の御本尊

金蓮華も、青蓮華も、実際には存在しない色のハスの花です。


金蓮華は仏さまの智慧のお徳をあらわす金色の花弁の蓮華です。自然界にはまずあり得ません。

青蓮華も、インド古来の品種にブルー系の花弁の蓮があると聞きますが、お仏像にあしらわれているのは緑色で、花弁というよりは葉っぱのようです。
おそらく、このような花弁の蓮も実在はしていないでしょう。
しかしながら、経典にはしっかりと名前が出てきます。
十二礼に「両目浄若青蓮華(りょうもくじょうにゃくしょうれんげ)」と、「阿弥陀さまの両目は浄らかな青蓮華のようです」という一節があり、仏さまの清らかさをあらわす象徴として、大切に伝えられてきたものが青蓮華だったのです。

さて、前置きが長くなりましたが、徳正寺の御本尊の蓮座はというと、実は「白蓮華」です。

実を言うと、これはとても珍しいことなのです。
なぜな現在、浄土真宗本願寺派において白い蓮座の御本尊が公的に認可されているのは、親鸞聖人のご廟所(お墓)である大谷本廟の仏殿にある御本尊のみだからです。
それなのに、なぜ徳正寺にご安置させていただいてきた御本尊の蓮座が白いのかは、よくわかっていません。

しかし、この蓮座から非常に味わい深く有難いものが見えてきます。

まず白蓮華は、分陀利華ともいい、妙好人(お念仏をよろこぶ うるわしい人)を象徴するものです。煩悩を抱えながらも仏さまの教えに生きる象徴とも言えるでしょう。
さらに言えば、大谷本廟仏殿の御本尊の蓮座にもない特徴が、徳正寺の御本尊にはあるのです。

蓮座を拡大して見てみましょう。

蓮座の花弁ひとつひとつに彫刻されているこの模様は、『摩尼宝珠-まにほうしゅ-(如意宝珠-にょいほうしゅ-)』と呼ばれるもので、「意のままに様々な願いをかなえる宝」といわれるものです。

このように、摩尼宝珠が刻まれているのは、『仏説観無量寿経』に説かれる、阿弥陀如来やお浄土の様子を思い浮かべる16種類の観法のひとつ、阿弥陀如来の台座である蓮華の華を想う「華座観(けざかん)」を形にしてあるからだと思われます。

 そこではお釈迦様が、「阿弥陀仏を見たてまつりたいと思うなら、次のように想い描くがよい。」とおっしゃり、「まず七つの宝でできた大地の上に蓮の花があると想い、その蓮の花びらの一つ一つが百の宝の色を持っていると想い描くのである」と示されていきます。

まさに、花びらの一つ一つに刻まれた火焔型(かえんがた)の輝きを表した宝珠は、それを象徴しているようです。

曇鸞大師は、「濁水を清浄な水に変える摩尼宝珠」と『浄土論註(じょうどろんちゅう)』に示されており、濁った水の中に摩尼宝珠を入れると、たちどころに清らかな水に変わるとおっしゃっています。
これは、私たちの煩悩を濁りに見立てて、悟りの清らかさを表しておられるのです。
まさに、蓮の花が泥の中に育っても泥に染まらず美しい花を咲かせるように、煩悩に染まらないお悟りを象徴していることが表されているのです。
だからこそ金でも青でもなく白蓮華だったのでしょう。

多くの先輩方が想いを向け、大切に護ってこられた徳正寺の御本尊のお姿を、改めて味わい深く感じさせていただくご縁となりました。

「安居会説教」への2件の返信

6月の安居会が コロナ禍での広島県緊急事態宣言解除とリンクして開催されました。御法座の後 御法座の内容をより深める談話に華が咲きました。

先日はようこそお参りくださいました。
ご法座が終わった後の談話の時間、盛り上がりましたね!
大切な時間だなと思いました。

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