棟上げが終わり、屋根を支える骨組みである小屋組(こやぐみ)が作られていきます。
勝縁廟の屋根面は、膨らんでいるように見える「むくり」と呼ばれる丸みを帯びた形状です。
徳正寺本堂の「反り(そり)」のある屋根と対をなして呼応する形として、設計されました。
その形を作り上げていくため、まず小屋梁(こやばり)の上に、ゆるやかな曲線にカットされた材料が据えられていきました。
その切れ込み部分には、母屋(もや)が架けられ、板が貼られていきます。
勝縁廟の天井は、構造を見せるように設計されています。
そのため、天井の板には、深みのある色で防腐塗装が行われ、母屋などの構造が映えるようになっているのです。
実は、天井に使用された157枚の板はすべて、若坊守が一枚一枚きれいにヤスリ掛けをした上で塗装を行ったものです。
こうして貼られた天井板の上に垂木(たるき)が架けられていくのですが、この垂木が曲線を描いていないと、まるい屋根にはなりません。
厚い角材では、屋根に沿って曲がりません。そこで棟梁は、薄い角材を指定の厚みになるように重ねながら垂木を架けていかれたのです。
そして、垂木の上に野地板が貼られていき、まるい屋根の小屋組が仕上がっていきました。