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法座

御正忌

1月15日、16日は、宗祖親鸞聖人のご遺徳を偲び、御正忌の御法座を営みました。

例年、宗祖のご命日にかけてお勤めをさせていただいており、15日は大逮夜として、夜席もお勤めさせていただいています。

また、御正忌においては、御伝鈔、御文章(御正忌章)の拝読を通して、宗祖九十年のご生涯をお讃えいたします。

御伝鈔拝読(徳正寺では、15日夜席に上巻前半部分、16日昼席のご満座で下巻後半部分を拝読します。)
16日朝席にて、御文章御正忌章の拝読

本年は、左余間が雨漏りをしていることもあり、仏具やご絵像を傷めぬよう、御絵伝は右余間の側面にお掛させていただきました。

休憩時間には、住職が御絵伝のシーンについて解説する時間も。

なお今回の掛け方で良かったのは、御絵伝を裏面から見ていただく機会をもてたことです。

裏書には、こうあります
「釋法如(花押)
 宝暦三癸酉年五月十四日
 興正寺門徒東坊下佛護寺下
 光福寺下安芸国賀茂郡
 兼沢村徳正寺物
 願主釋為清」
つまり、この御絵伝は西暦1753年、本願寺第十七代宗主・法如上人の時代に、徳正寺の六代目住職 為清の依願によって下附されたものであることがわかります。
当時、広島安芸の地域は、本願寺教団内においては興正寺門徒の流れをくむ末寺頭・東坊に属しており、そこから広島別院の前身ともいわれる本坊の佛護寺とその門前十二坊のひとつ光福寺の取次を経て徳正寺が賜ったものであることが記されてあります。

裏の所以書からもわかるように、本堂の火事も逃れ、270年以上にわたって徳正寺に伝わっている御絵伝です。

またこの度の御法座より、寛永17年(1640)にご本山より下附されたと伝えられている七高僧ならびに聖徳太子の御絵像を掛けさせていただいています。

傷みが激しかったので、長らく仕舞ってあったのですが、この度修復が終わり、返ってきたものです。

改めて、この御正忌において、什物を通しても歴史を感じさせていただくことでもありましたが、やはり大切なのは、一貫して相続されている「おみのり」をよろこばせていただくひとときでしょう。

この度の御講師は釋徳水師(安佐南区沼田町・浄宗寺)でした。

各地で、親鸞聖人をお慕いして報恩講を営まれてきた物語をご紹介くださるなど、代々にわたって、み教えが相続されてきたことを想わせていただくお話。
改めて、いま、わたしたちにお念仏が届いているよろこびを感じさせていただくご法縁となりました。


お話の中で、印象的だったのは、御講師のお名前でもある「徳水」のお話。
お浄土には八つの功徳のある水があり、それを阿弥陀経でも「八功徳水」とあらわされてあります。

「八功徳水(はっくどくすい)」とは、「甘(あまく)・冷(つめたく)・軟(やわらかく)・軽(かるく)・清浄(きよらかで)・不臭(におわず)・飲時不損喉(のどをうるおし)・飲已不傷腸(おなかをいためない)」そのような効能の備わった水のことです。

しかしながら、わたしたち凡夫は、そんな功徳の水のことを報されていながらも、「八苦毒水(はっくどくすい)」を味わいがちな生き方をしていることを振り返させていただくことでした。
それだけに、毒を好む私に対してはたらいてくださる如来様のお徳は有難いものだと思わずにはおれません。

この度の御正忌が、本年最初の御法座ではありましたが、この御正忌も含め、ここからの各御法座は一回一回が、現在の本堂で営む最後の機会となってまいります。
引き続き、どうかお誘い合わせの上ご参詣ください。

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