前回お伝えした勝縁廟の床下空調換気システムは、床下の空気の状態がとても重要です。
そのため、勝縁廟を設計された柴田安章さんは、床下の空気清浄に竹炭を利用することを提案してくださっていました。
そこで、お願いすることになったのが、地元・黒瀬町の『竹炭部』です。

実は、黒瀬町津江の竹で竹炭を作る活動を『竹炭部』の皆さんが長年続けていらっしゃいます。
竹炭部には、徳正寺ご門徒の松原寛さんも参加しておられます。
松原さんにお願いをして、300kgという大量の竹炭を準備していただくことになりました。
竹炭制作は、黒瀬町津江の一角で行われています。

一心さんは、今でも年配の方からお名前を聞くことの多い方で、ご自身の屋敷で寺子屋などを開かれるなど、地域の方々に教えを伝えておられました。

竹を直接火にかけるのではなく、束ねた竹の入った釜に熱波を通す独自の製法で焚かれるため、形が崩れの無い、美しく上質な竹炭が出来上がるのです。

時折キンキンと金属的な音を響かせます。
「お寺の納骨堂に使われる竹炭だから」と、特別良いものを選り分け、手作業で、ちょうど良い大きさに割って袋詰めしてくださいました。

竹炭部の松原寛さんらが、軽トラックを出して徳正寺まで搬送してくださることになり、一緒に竹炭を軽トラックに積み込みました。


現在、床下の調湿に寄与しています。

設計士の柴田さん自らが空気の取り込み効率などを考えながら敷き詰めていかれたもので、これにより、外気は竹炭を通って浄化される仕組みになっているのです。
こうして、竹炭の効果も加えて、床下空調換気システムを最大限に活用できる状態が作られていきました。
勝縁廟を初めて訪れた方は、館内に入ったときに決まって「いい香り」とおっしゃいます。
そのように感じられるのは、黒瀬の竹炭によってきれいに浄化された空気が届いているからでしょう。