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本堂修復事業

瓦検品視察 大和編

新しく本堂に葺かれる屋根瓦は、奈良県の大和瓦です。
日本に瓦製造の技術が伝えられて以来、多くの社寺建築の屋根瓦に採用されています。
1400年余りの歴史に磨かれながら発展してきた伝統的な瓦が葺かれた歴史的建造物の数々が各所にあり、その普遍的な美しさや耐久性こそが、奈良の大和瓦の強さの証明でもあります。

そんな大和瓦の生産を行っている、奈良県瓦センター株式会社の工場を見学させていただきました。

玄関では、東大寺大仏殿の隅鬼(予備として作成されたものだとか)がお出迎え。

工場には土練機やプレス機など、瓦を製作するための機械が並んでおり、この日は職人のみなさんが、瓦の成形仕上げを行っていました。

こうして成形された瓦は乾燥に入ります。

焼成をまつ乾燥中の瓦。
下の階が炉になっており、瓦を焼く際の余熱で乾燥をすすめるようになっているとのこと。
炉が稼働しているときはサウナのように熱いのだとか。
乾燥室には、粘土の性質によってどれくらいねじれが生じるかを記録したものが保管されていました。

炉のコントロール室も見学させていただきました。

1100度以上の高温で焼きあげることで、耐久性のある瓦が仕上がります。

いぶし銀の瓦として仕上げる工程には、燻化という工程があり、焼き上げる工程のなかで、高温の真空状態をつくり、そこに燃料を投入することで瓦の内部まで炭化した燻銀の瓦が作られるとのこと。

瓦を割ってみると、中まで銀色に。よそでは表面だけ燻し調に仕上げ、中は赤い粘土質の瓦もあるなかで、大和瓦は内側まで完全に炭化させることで、強い耐久性が発揮されるのだとか。

そのほかにも、工場内にある鬼師さんの工房も見学。

この度の本堂向拝の軒先につく獅子飾りは、奈良の鬼師さんが製作してくださることになりました。

型で抜いた既成型ではなく、鬼師さんの個性が光る一点ものの獅子飾りが仕上がる予定で、これから製作に入ってくださるとのこと。

また、徳正寺の軒先に使用される軒瓦も仕上がっており、出荷のときを待っておりました。
侵入路が整備され次第、届けられる予定になっています。

古代蓮華紋の軒瓦

このような伝統の技が受け継がれた瓦を使用して、来年にかけて屋根の葺き替えが始まります。

引き続き、ご報告を続けてまいります。

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