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徳正寺納骨堂 勝縁廟

八角柱

勝縁廟正面2本の柱は、八角形です。

八角形となったのには理由があります。
まず、ひとつに「中心に向かって気持ちが集まるような形」が、勝縁廟の設計コンセプトにあるからです。


それを表す最たる形は「円(まる)」ですが、正方形や八角形にも、気持ちを中心に集めるはたらきがあると言われています。

さらに、徳正寺の山号は『八王山』で、「八」という数字が込められていることから、玄関となる正面ポーチの柱は八角形に整えてもらうことになったのです。

しかし、言うは易し。実際にそれを形にしてもらうには、大工さんに随分と手間をかけていただくことになりました。

元々四角い柱に八角形になるよう添え木をして
檜の板を貼り付けて八角形を成形してくださいました。

しかし、このままでは、時間の経過とともに檜の板が縮んだり、撓(たわ)んだりして、形が損なわれてしまう恐れがあります。

特に、日光や風雨に強く晒されることになる柱でもあるため、どのようにしたら長く大切に保持できるか、考える必要がありました。

凄腕の大工さんが、形が出来上がってからも、3日間かけて木の変化を見ながら、厳重に厳重に手をかけ補強を繰り返してくださいました。

大工さんが「玄関の柱は建物の顔だから」と、試行錯誤を続けてくださる様子を見ながら、どうしてもこの柱は綺麗に守っていきたいと思いました。
「問題になる、木の縮みや撓みが抑えられるような保護塗料があれば良いのに…」と、思いながらインターネット検索をした結果、ひとつの出会いがあったのです。

それが、tataraセラミック塗料です。

ホームページを見て、若坊守が問い合わせをしたところ、担当の方が強く共感してくださり、効果的な塗布の方法を開発者の方にも相談された上で、直接施工しに来てくださることになりました。

予め、施工面積に対して必要量の塗料を計算していただいて、購入させていただきました。

そして、施工の日取りも決まり、tatara-hanbai合同会社さんから、お二人が出張してくださいました。

前日、あらかじめ輪染み・アク止め用の塗料で下処理しておいた柱に、お二人がセラミック塗料を塗布していかれます。
液を木材の奥のほうまで染み込ませるため、版画などでも使われる転圧用のゴムローラーで液を押し込みながら、1日がかりで2本の柱を塗装してくださいました。
塗料をしばらく木に馴染ませ、浸透し切らなかった液はウエスで拭き取っていきます。余分な液を付着したままにしておくと白染みの原因になるそうです。
一晩明けて、さらに仕上げ材を同様の手順で施工し、塗装が完了した柱。木の質感そのままに、木目がより美しく強調されました。
八角柱を通して、出遇わせていただいた貴重なご縁。2日間にわたって丁寧な施工をしてくださり、有難うございました。



ちなみに、施工していただいた翌日、早速雨が降りました。

塗装の効果抜群で、しっかりと水を弾いています。木の中まで染み込む水濡れによるカビの発生も防ぐため、長期間にわたって木の美しさを保つことができるそうです。
本堂向拝のスノコにも行なっていたtataraセラミック塗装。柱の写真よりも、こちらのほうが水弾き具合がよく伝わるかと思いましたので、参考までに掲載いたしました。



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