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徳正寺内施設

経蔵

徳正寺正面の鐘楼門を入ってすぐ左側に小さいお堂があります。
これまでお伝えできておりませんでしたが、このお堂は『経蔵』です。
読んで字のごとく、「お経を納める蔵」です。

この経蔵は、大正15年3月に平町光太郎という方が『一建立寄附』で建てられたという記録が残っています。
この経蔵には、建立以来、『大蔵経』(お釈迦さまならびにそのお弟子たちがまとめられた経・律・論の「三蔵」をまとめたもので、「一切経」ともいわれます)という、多くのお経の本が納められてきました。



この度、寒波に際しての強風で出入り口扉が外れ、破損してしまいました。



このままでは堂内に風雨が吹き込むことも予想されますから、急遽『大蔵経』は本堂に避難させました。
扉の修復を終えた後に、経蔵に戻したいと思っていますが、経年の埃や湿気などで痛みも生じておりますので、きちんと虫干しをしてから、納経したいと思います。

収蔵されていた大蔵経



さて、この経蔵には、お経のほかに「五劫思惟像」が安置されています。

五劫思惟の御木像は、郷原の仏師・南兼吉さんの作



このお像は、阿弥陀如来が仏となられる前のお姿です。(お名前を法蔵菩薩といいます)
「生きとし 生ける すべてのものを 救う」という尊い誓願(ちかい)を成就させるため、五劫という果てしなく長い時間をかけて悩み抜かれた様子があらわされています。

法蔵菩薩さまが、迷いの中にある私たちをどのようにすれば救うことができるのかを思惟してくださるお姿をより深く感じられるよう、この度、お像を清掃した折、背面に「六道繪」(六道の様子を描いたもの)を掛けさせていただきました。

地獄道が描かれたもの
餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天上道が描かれたもの。


これら六道は、まさに私たちの迷いそのものです。
「六道輪廻」という古代インドの時代から伝わる概念でも示されていることですが、すべての人は地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天上道の6つの世界を、生まれ変わり死に変わりしながら抜け出すことができずに迷い続けているといいます。
その迷いを超える教えが仏教なのです。

「お釈迦様がお生まれになった時、7歩あゆまれた」という伝承も、6つの迷いの世界を超える一歩を踏み出されたということを象徴的にあらわしているのです。

日々、いろいろと迷い悩む私たちです。
そんな私たちを救うために、阿弥陀如来さまは仏となってくださいました。
当面の間、経蔵は日中開扉しておりますので、ご自由にご拝覧ください。

そして、その際にはぜひ、心静かに「南無阿弥陀仏」と、お念仏申していただければと思います。

現在、お経を納めていた棚には、仏壇終いなどに際してお預かりしている御本尊などをご安置しています。


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